皆さん、新聞の好みってございます?
部数で言えば、やっぱり読売新聞が断トツかな。
本稿の読者さんですと、
「新聞なんて読まねーわ」
という方が大半かもしれませんけど、それはあくまで“紙”としての話であって、スマホ上ではしょっちゅう目を通してますよね。
ボクが今朝、通勤中にヤフーで見かけ、激しく引っかかったのも朝日新聞の記事でした。
◆100円貯金、5千回達成 93歳の目的「金じゃない」(朝日新聞・ヤフー)
以前から
「新聞記者だからって原稿が上手いワケじゃないよ」
と申し上げているボクですが、いやはや今回のニュースは中々キツかったです。
早速、リライトしちゃいましょう!
【リライト前の原文】
対象となったのは以下のリード部分。
悪文ですので心してお読みください。
福井県小浜市中井の口名田郵便局が呼びかける営業日に100円を郵便貯金する「桃の実貯金」に、近くの自宅から歩いて参加してきた山本實(みのる)さん(93)が22日、5千回目の貯金を達成した。清水良憲(よしのり)局長(33)から顔写真入りの認定証と記念品の皿を贈られた。
もうね。
一発でこれ読んで理解できた人は、凄まじい頭脳の持ち主だと思います。
言っちゃ悪いけど、かなりお粗末。
記事を書いた記者さんも、この原稿を通したデスクさんも、相当時間に窮していたと思いたい。
では、このリードの何が悪いか?
答えは単純です。
◆一行に何でもかんでも情報を突っ込んでいるから
確かに、新聞のリードには定型があります。
「◯◯は◯日、◯◯◯をしたと発表した」
とか
「◯◯は◯日、◯◯をした」
という文章ですね。
読者も慣れているので、どうしても統一した書き方になってしまうのでしょう。
しかし、今回の貯金のようなヒマネタ(美味しいネタがないときに流すニュース)の場合は、多少カタチを崩したって問題ないはず。
【リライト後の文章】
つーことでボクがリライトしてみたらこんな感じに仕上がりました。
口名田郵便局(福井県小浜市)の呼びかけに応じ、毎日100円ずつお金を預けていた山本實(みのる)さん(93)が22日、貯金回数が合計5千回に達したとして、顔写真入りの認定書と記念品の皿を贈られた。百円の「百」が「もも」とも読めることから「桃の実貯金」と呼ばれ、山本さんは毎朝散歩がてら郵便局を訪れていたという。
どうでっしゃろ?
だいぶ読みやすくなってません?
原文は【一行に詰め込み過ぎだ】と申しましたが、それだけじゃなく焦点の当て方もおかしいのです。
どういうことか?
一行目の主部・述部が
山本實(みのる)さん(93)が22日、5千回目の貯金を達成した。
と「達成した」ことに力点が置かれてますよね?
でも、ニュース性ってそこじゃない。
達成して、さらに「記念品等が贈られた」から記事になったはず。
単に5千回達成だけなら「次は1万回目指して頑張ってね」で終わってしまう可能性もありますし、これまで1千回でも、2千回でも、スルーされてきたのも同じ理由からでしょう。
なぜニュースになるのか?
それをキッチリと芯で捉え、一行目に注力せねばならないのです。
だからボクは、次のような主部・述部の一文にしました。
山本實(みのる)さん(93)が22日、貯金回数が合計5千回に達したとして、顔写真入りの認定書と記念品の皿を贈られた。
やっぱり「贈られた」からなんですよ。
ちょっとした話題になって、だからこそニュース性がある。
もちろん他の書き方もありますよ。
特に今回の場合100円を5千回貯金して【50万円】になったという金額がいいじゃないですか。
誰だって欲しいよね、50万円。
どストレートに心に響くよね。
100円×5千回じゃ、なんだかピンと来ないけど、「100円貯金が50万円になった」と言われればピクッて反応してしまう。
そんなチリツモ効果に注目してもいいのです。
しかし、今回の記事ではなぜか「50万円」という金額も一切出てきませんでした。
単純に忘れたのか?
これが新聞の倫理なのか?
例えば日刊SPAさんなら、迷わず50万円にだけ注目していたと思います。
そっちの方が刺さりますからね。【ボクらの50万円こっそり節約術】みたいな感じで書いていたことでしょう。
ともかく、今回の記事は、
・一行に詰め込みすぎ
・要点がボヤけている
・大事な表記も欠けている
という3つのポカから、お粗末な内容となってしまいました。
どうです?
新聞の文章が完璧だなんて思い込みであって、たとえ相手が大手紙記者でも引け目を感じる必要って1ミリも無いんですよ。
まだ自分がヘタだなぁ……って苦手意識があっても、んなもん訓練次第でどうとでもなる。
以下のnoteに文章テクのノウハウが載ってますんで良かったらチェックしてみてね♪
無料部分だけでも基本の習得ができるハズです。
◆文章上達のコツは【逆転の発想】だ!
文才無しの凡人が、プロの原稿をリライトできるまでになった――
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・上手に書こうとするな
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・武将サロン(10月開始)では無料配布https://t.co/oNJLtJ0IK9— 利休.com◆月350万PVの会社員 (@igarikyu) September 19, 2018
文:五十嵐利休
【リライト講座の対象は?】
ストレートニュースや週刊誌記事などは、最もシンプルかつ技術の必要なジャンルの文章だと思います。
ゆえに学ぶことも多く、リライト講座の対象とさせていただきました。
ですのでドコかの記事で『おやっ?』と感じる表現を見つけたらご一報いただけると幸いです。
ここでリライト実践させていただきます。
ただし、小説やエッセイ、個人ブログにつきましては、あくまで著者による世界観演出の場ですのでご遠慮ください。
私なんかが突っ込むのは畏れ多く、テクニックについて論ずることはできません。
さらには、誤字・脱字・誤変換等については、私も頻繁にやってしまいます。
文章テクニックとは別の話と割り切ってくださいますようお願いします。
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